○鳥栖・三養基地区消防事務組合救急業務規程
平成23年3月7日
訓令第8号
(目的)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)の規定に基づく救急業務及びこれに関連する業務の効率的運用を図るために必要な事項を定めることを目的とする。
(平31訓令3・一部改正)
(1) 救急業務とは、法に定める救急業務をいう。
(2) 救急事故とは、法及び消防法施行令(昭和36年政令第37号)に定める救急業務の対象である事故をいう。
(3) 応急処置とは、救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号)及び佐賀県メディカルコントロール協議会検証委員会が示す救急活動プロトコールの基準に定める処置(以下「処置等の基準」という。)をいう。
(平31訓令3・一部改正)
(救急業務の管理責任)
第3条 消防長は、この規程の定めるところにより救急業務の執行体制の確立を図るとともに、救急業務の実施に万全を期するものとする。
2 消防署長(以下「署長」という。)は、この規程の定めるところにより職員を指揮及び監督して、執行体制の確立を図るとともに、救急業務の万全を期するものとする。
3 警防課長は、処方箋指示書による薬剤等の管理に努めるものとする。
(平31訓令3・追加)
(救急隊の編成)
第4条 消防長は、救急救命士法(平成3年法律第36号)第2条第2項に規定する救急救命士の資格を有する隊員及び救急隊員の行う応急処置等の基準第5条第2項に規定する隊員をもって救急隊を編成するよう努めるものとする。
2 救急隊は、隊長1人、機関員1人、隊員1人以上とし、隊長は消防士長以上をもって充てる。
3 隊長は、上司の命令を受け、隊員を指揮監督し、救急業務を円滑に行うよう努めなければならない。
4 署長は、災害の状況により特に必要と認める場合は、救急隊以外の消防隊をもって救急隊を編成し、救急業務を行わせることができる。
(平31訓令3・旧第3条繰下・一部改正)
(隊員の訓練)
第5条 署長は、隊員に対し、救急業務を行うために必要な学術及び技能を習得させるため、常に教育訓練を行うよう努めなければならない。
2 訓練は、鳥栖・三養基地区消防事務組合消防活動基本規程(平成31年訓令第2号)第83条から第88条に定める訓練の種類、指針等に準じ、実施するものとする。
(平31訓令3・一部改正)
(隊員の服装)
第6条 隊員が救急業務を実施する場合の服装は、鳥栖・三養基地区消防事務組合消防職員服制規則(平成21年規則第11号)に定める活動服等を着装することとする。ただし、安全管理上の必要がある場合又は感染のおそれがある場合は、この限りでない。
(平26訓令4・平31訓令3・一部改正)
(救急自動車に備える資器材)
第7条 救急自動車には、救急業務実施基準(昭和39年自消甲教発第6号)別表第1から別表第3に掲げる資器材のうち必要と認める資器材を備えるものとする。
(出動等)
第8条 消防長又は署長は、救急事故が発生した旨の通報を受けたとき又は救急事故が発生したことを知ったときは、当該事故の発生場所、傷病者の数及び傷病の程度等を確かめ、直ちに所要の救急隊を出動させなければならない。
2 次に該当する救急事故が発生したときは、消防隊が救急隊と同時又は救急隊の要請により出動(以下「PA連携」という。)するものとする。ただし、119番覚知時に通報者が拒否し、その必要性がないと判断されるときは出動しないものとする。
(1) CPA傷病者又は意識レベルJCS300で呼吸及び脈拍について情報が得られない傷病者が発生したと予想されるとき。
(2) 交通事故等の二次災害が発生するおそれがあると認められるとき。
(3) 狭隘・中高層場所等で、救急隊のみでの傷病者の搬送搬出が困難となることが予想されるとき。
(4) 救急隊が出動中で現場到着に相当な遅延が予想されるとき。
(5) 傷害事件等で救急隊員及び傷病者の安全を確保する必要があると認められるとき。
(6) 救急隊長が消防隊の支援の必要があると認め、PA連携を要請したとき。
(7) その他消防隊との連携の必要があると認められるとき。
3 消防隊は、救急隊の活動支援を主眼とし、次の活動を行うものとする。
(1) 傷病者及び資器材の搬送補助
(2) 傷病者及び救急隊員の安全管理
(3) 救急隊員が必要とする情報収集
(4) 先着した場合における傷病者の応急処置及び救急隊の誘導
(5) 救急自動車及び資器材の管理
(6) 救急隊員の行う応急処置の補助
4 第2項の規定に基づき出動した消防隊は、消防出動報告書を作成するものとする。
(平31訓令3・一部改正)
(救急隊員の心得)
第9条 隊員は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 救急業務の特性を自覚し、常に身体及び着衣の清潔保持に努めること。
(2) 傷病者の取扱いに当たっては、懇切丁寧に対処し、傷病者に不快又は不安の念を与えないよう言動に留意し、私情をまじえないこと。
(3) 傷病者が自己の所持品を自ら管理できない状態にあるときは、家族、警察官、医師、その他適当と認める者に管理を依頼すること。
(4) 救急処置に際し、常に沈着冷静に行動し、傷病者に対する応急処置に当たっては不注意や思い違いによる過誤等を生じさせないこと。
(5) 救急業務を行うための処置等の基準遵守し、必要な学術及び技能の習得に努めること。
(6) 救急資機材の保全に留意するとともに、その使用については適正を期すること。
(7) 現場においては、他からの干渉に迷わされることのないよう自信をもって業務を行うこと。
(8) 傷病者について知り得た秘密は、他に漏らしてはならない。
(平31訓令3・一部改正)
(口頭指導)
第10条 情報指令課長は、救急出動要請時に消防指令センター又は現場出動途上の救急自動車から、救急現場付近にある者に、電話等により応急手当の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。
(平29訓令8・平31訓令3・一部改正)
(搬送を拒んだ者の取扱い)
第11条 隊員は、救急業務の実施に際し、傷病者又はその関係者が搬送を拒んだ場合は、これを搬送しないものとする。
(傷病者の取扱い)
第12条 隊員は、現場に到着後、直ちに傷病者の周囲の状況、救急事故の形態及び傷病者の状態を観察し、必要な処置を施し、所定の医療機関又は傷病者若しくはその関係者が希望する医療機関へ搬送しなければならない。
2 傷病者を搬送する医療機関は原則として管内の医療機関とする。ただし、署長の特命がある場合は、管轄外の医療機関へ搬送することができる。
3 前項に定める管轄外の医療機関に搬送することができる場合とは、次によるものとする。
(1) 片道がおおむね30km以内の医療機関に搬送するとき。
(2) 署長が搬送の必要があると判断したとき。
(平31訓令3・一部改正)
(応急処置)
第13条 隊員は、傷病者を医療機関に収容し、又は救急事故現場に医師が到着し、傷病者が医師の管理下に置かれるまでの間において、傷病者の状態その他の条件から応急処置を施さなければその生命が危険であると認められる場合又はその症状が悪化するおそれがあると認められる場合は、処置等の基準により応急処置を行うものとする。
2 隊員は、傷病者の傷病程度が軽症で搬送の必要がないと認めるときは、応急処置のみにとどめることができる。
(平31訓令3・一部改正)
(医師の要請)
第14条 隊員は、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに救急現場に医師又は状況に応じてドクターヘリ、ドクターカー等を要請し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(1) 傷病者の状態から搬送することが生命に危険であると認められる場合
(2) 傷病者の状態から搬送可否の判断が困難な場合
(3) 救助活動を要する傷病者で事故現場において医師の診療が必要な場合
(死亡者の取扱い)
第15条 隊員は、傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると診断した場合は、これを搬送しないものとする。
2 前項に定める傷病者が明らかに死亡している場合の確認及び取扱いについては、次のとおりとする。
(2) 傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると診断した場合は、医師又は警察官に引継ぎを行い、引揚げること。
(3) 救急現場の状況、住民感情及び関係機関相互の状況等から傷病者の搬送が必要と判断される場合は、搬送することができる。
(平31訓令3・一部改正)
(関係者の同乗)
第16条 隊員は、救急業務の実施に際し、傷病者の関係者又は警察官が同乗を求めたときは、最小限度においてこれに応ずるものとする。
2 未成年者又は意識に障害があり正常な意思表示ができない傷病者を搬送する場合は、努めて保護者等関係者の同乗を求めるものとする。
3 隊員は、医療機関にある傷病者の医師又は代理者からの要請で、他の医療機関へ転院搬送する場合は、医師の同乗を求めるものとする。ただし、医師の判断により症状管理の必要がないと認めた場合は、この限りでない。
4 隊員は、前3項のほか、特に必要があると認めるときは、保護者、警察官等の関係者を同乗させることができる。
(警察官との連携)
第17条 隊員は、交通事故、犯罪事故等警察機関に関係ある救急事故等の救急業務の実施に当たって必要があると認める場合は、警察官の協力を求めて行うとともに、業務に支障のない範囲で現場保存、通報、連絡等を行うなど、捜査活動に協力するよう努めるものとする。ただし、傷病者の生命に危険があると認める場合は、救急業務を最優先するものとする。
2 隊員は、傷病者が救急事故により明らかに死亡している場合は、速やかに警察署へ通報するものとする。
3 隊員は、傷病者が錯乱状態、泥酔等のため自己又は他人の生命、身体等に危害を及ぼすと認められる場合は、警察官と協力して救急業務を行うものとする。
(平31訓令3・一部改正)
(感染症と疑われる者の取扱い)
第18条 隊長は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条に規定する1類感染症、2類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症又は新感染症と疑われる傷病者を搬送した場合は、隊員及び救急自動車等の汚染に留意し、直ちに所定の消毒を行い、この旨を署長に報告するものとする。この場合において、当該傷病者がこれらの感染症の患者であることが判明したときは、速やかに医師等の指示により適切な措置を講ずるものとする。
2 前項に定めるほか、感染症と疑われる者の取扱いについては、鳥栖・三養基地区消防事務組合感染症対策要綱(平成26年訓令第3号。)の定めるところによる。
(平26訓令4・平31訓令3・一部改正)
(要保護者等の取扱い)
第19条 署長は、生活保護法(昭和25年法律第144号)に定める被保護者若しくは要保護者と認められる傷病者を搬送した場合においては、速やかに要保護者等搬送通知書(様式第1号)により傷病者の居住地を管轄する福祉事務所長等に通知するものとする。
(平31訓令3・旧第20条繰上)
(医療機関への引継ぎ)
第20条 隊員は、医療機関に傷病者を引き継ぐときは、状態、応急処置、経過、傷病者の所持品管理その他必要な事項を医師に告げ、佐賀県メディカルコントロール協議会検証委員会が示す救急活動記録票(医療機関保存用、事後検証票を含む。)及びCPA傷病者活動記録・救命処置録(ウツタイン様式)に所要事項を記入し、傷病名、傷病程度等診療結果及び救急隊への意見についての所見及び医師の署名を得るものとする。
(平31訓令3・旧第21条繰上・一部改正)
(家族等への連絡)
第21条 隊員は、傷病者の傷病の状況により必要があると認めるときは、その家族等に対し、傷病の程度、状況等を連絡するように努めるものとする。
(平31訓令3・旧第22条繰上・一部改正)
2 署長は、特に重要、異例であると認めた救急事案の場合は、消防長に報告するものとする。
(平26訓令4・一部改正、平31訓令3・旧第23条繰上・一部改正)
(平31訓令3・旧第24条繰上・一部改正)
(救急月報)
第24条 警防課長は、毎月の救急業務の状況を救急月報(様式第3号)により翌月始めに消防長に報告しなければならない。
(平31訓令3・旧第25条繰上)
(簿冊)
第25条 救急事務を担当する係は、次に定める簿冊を備え、救急活動等の記録を行わなければならない。
(1) 救急日誌(様式第4号)
(2) 救急用資器材消耗品台帳(様式第5号)
(3) 医療機関名簿(様式第6号)
(4) 処方箋指示書による薬剤等管理台帳(様式第7号)
(平31訓令3・旧第26条繰上・一部改正、令3訓令8・一部改正)
(医療機関等との連携)
第26条 署長は、救急業務の実施について、医療機関その他関係機関(以下「関係機関」という。)と密接な連携を図り、救急業務の円滑な運営に努めるものとする。
(平31訓令3・旧第27条繰上・一部改正)
(消毒)
第27条 署長は、次に定めるところにより、救急自動車及び積載品等の消毒を隊員に行わせるものとする。
(1) 定期消毒 月1回
(2) 使用後消毒 使用後必要に応じ行う。
(平31訓令3・旧第29条繰上)
(消毒の標示)
第28条 署長は、前条第1号の消毒をしたときは、その旨を、救急自動車の見やすい場所に標示しておくものとする。
(平31訓令3・旧第30条繰上)
(特殊救急業務計画)
第29条 消防長は、集団事故が発生した場合における救急業務の実施については、鳥栖・三養基地区消防事務組合集団災害における救急・救助活動計画に準ずる。
(平31訓令3・旧第31条繰上・一部改正)
(救急調査)
第30条 署長は、救急業務の円滑な実施を図るため、管轄区域について、次に掲げる事項を調査するものとする。
(1) 地勢及び交通の状況
(2) 救急事故が発生するおそれのある対象物の位置及び構造
(3) 医療機関等の位置
(4) 前3号に掲げるもののほか、必要な事項
(平31訓令3・旧第32条繰上)
(住民に対する普及啓発)
第31条 消防長は、住民に対する応急手当の普及啓発活動を計画的に推進するよう努めるものとする。
(平31訓令3・旧第33条繰上)
(救急自動車の適正利用の普及)
第32条 消防職員は、住民の救急自動車の適正利用について普及に努めなければならない。
(平31訓令3・旧第34条繰上)
(救急情報の提供)
第33条 署長は、住民等から救急に関する相談等があったときは、次の事項に関して情報の提供に努めるものとする。
(1) 診療可能な医療機関
(2) 救急業務の対象とならない傷病者の取り扱い機関又は搬送手段
(3) 応急に救護するために必要な知識及び技術
(4) 救急事故の予防知識
(5) その他住民に必要と認められる事項
(平31訓令3・旧第35条繰上・一部改正)
2 署長は、前項の証明を行ったときは、関係書類を保管しておかなければならない。
(平26訓令4・一部改正、平31訓令3・旧第36条繰上・一部改正)
(補則)
第35条 この規程に定めるもののほか、必要な事項は、消防長が別に定める。
(平26訓令4・一部改正、平31訓令3・旧第37条繰上・一部改正)
附則
この訓令は、平成23年4月1日から施行する。
附則(平成26年訓令第4号)
この訓令は、公布の日から施行する。
附則(平成29年訓令第8号)
この訓令は、公布の日から施行し、改正後の鳥栖・三養基地区消防事務組合消防緊急通信指令施設で使用する住民基本台帳データのセキュリティに関する規程等は、平成29年4月1日から適用する。
附則(平成31年訓令第3号)
(施行期日)
1 この訓令は、平成31年4月1日から施行する。
(鳥栖・三養基地区消防事務組合救急活動の連携に関する要綱の廃止)
2 鳥栖・三養基地区消防事務組合救急活動の連携に関する要綱(平成24年訓令第2号)は、廃止する。
(鳥栖・三養基地区消防事務組合救急搬送時の運用要領の廃止)
3 鳥栖・三養基地区消防事務組合救急搬送時の運用要領(平成29年訓令第11号)は、廃止する。
附則(令和3年訓令第8号)抄
(施行期日)
1 この訓令は、令和3年7月1日から施行する。
附則(令和4年訓令第6号)
この訓令は、令和5年1月1日から施行する。
別表第1(第15条関係)
(平31訓令3・追加)
傷病者を不搬送とする際のプロトコール
下記の「明らかに死亡している」状態の基準に当てはまる場合は、救急隊の判断で傷病者を不搬送とすることができる。
「明らかに死亡している」状態の基準(下記A又はB) A 一見して死亡と判断できるもの。 (ア) 頭部、頸部又は体幹部が離脱している場合 (イ) 頭蓋骨の陥没や開放創により脳実質の広範な脱出 (ウ) 全身に腐敗がみられる場合 B 以下の6項目を全て満たすもの。 ① 意識レベルがJCS300であること。 ② 呼吸が全く感じられないこと。 ※ 聴診器を使用し、概ね30秒かけて判断する。 ③ 総頸動脈で、脈拍が全く触知できないこと。 ※ ECGモニターで、心静止を確認し、概ね30秒記録する。 ④ 瞳孔の散大が認められ、対光反射が全くないこと。 ⑤ 体温が感じられず、冷感が認められること。 ※ 体温計を使用して測定することが望ましい。 ⑥ 四肢の硬直が認められること、又は死斑が認められること。 |
運用上の注意点
a) チェックリストを使用して判断し、全ての死亡不搬送症例に対して記入する。
b) 頭部外傷の際の脳脱出だけでは、明らかに死亡しているとは言えない。
c) 寒冷暴露による偶発性低体温を常に念頭に置く。疑いが強い場合は搬送する。
d) 判断に迷う場合は、指示医師に連絡を取り、助言を受ける。
e) 記録したECG波形は、チェックリストとともに保管する。
f) ①~⑤は心肺停止を意味しても、CPRの不適応とは言えない。⑥は死亡を意味するが救急救命士にはその判断を行う行為は認められていない。
g) 「明らかに死亡している状態」であれば不搬送とし、警察に引継ぐことができる。ただし、家族が搬送を強く希望する場合や、周囲の状況から搬送するべきであると救急隊が判断した場合は搬送してよい。
(平31訓令3・追加、令3訓令8・一部改正)
(平31訓令3・令3訓令8・一部改正)
(令4訓令6・全改)
(平31訓令3・一部改正)
(平31訓令3・一部改正)
(平31訓令3・一部改正)
(平31訓令3・旧様式第7号繰上・一部改正)
(平31訓令3・追加)
(平31訓令3・一部改正)
(平26訓令4・追加、平31訓令3・令3訓令8・一部改正)
(平26訓令4・追加、平31訓令3・令3訓令8・一部改正)